Ⅱ. 不妊疾患の発症機序の解明

2)精子形成(発生)に関する研究

 精巣では、精子幹細胞は自己増殖しながら精祖細胞を産生し、精母細胞、精子細胞を経て精子を絶え間なく産生し続けています(図1)。我々は精子形成(発生)過程の中でも、生殖細胞と体細胞との相互作用に基づく増殖・分化の制御機構と円形の精子細胞が受精のために特殊化された精子へと形態形成していく過程に興味を持って研究を行ってきました


①精子形成における受容体チロシンキナーゼc-Kitの役割解析
 
精子形成細胞の増殖・分化の過程には、体細胞であるセルトリ細胞と生殖細胞の相互作用が重要な鍵となります。我々は、受容体チロシンキナーゼc-Kitが精祖細胞の細胞膜に発現し、セルトリ細胞が産生するリガンドSCFに応答して、精祖細胞の増殖・分化および生存維持に必須の分子であることをc-Kitに対する抗体の生体内投与による機能阻害実験により明らかにしました(図1)。


②減数分裂開始時期に機能発現する分子の探索
 
減数分裂は雌雄のライフサイクルに応じて開始時期と進行が制御されるという点で興味深い現象です。また、思春期になって減数分裂開始に伴って産生される精母細胞、精子細胞は、その分化過程を維持するために独特な微小環境を必要とします。我々は減数分裂の制御機構とこれを支持する精上皮の構造・分子を解析する目的で、減数分裂開始時期に当たる幼若ラット精巣成分を免疫してモノクローナル抗体を作製して、減数分裂期特異的に発現する分子の解析を行ってきました。


③先体形成の形態学的研究
 
先体は精子頭部前端にある袋状の細胞内小器官で、内部に受精に必須の様々な加水分解酵素が入っています。先体内部は均質な構造ではなく、サブドメイン構造があることが種々の哺乳動物精子で明らかになってきました。我々はこの先体の形成過程、先体内成分の輸送過程および精巣上体内精子成熟過程について、精子先体内部特異的タンパク抗原に対するモノクローナル抗体を用いて主に免疫電顕レベルで解析してきました。



1)始原生殖細胞の移動と分化に関する研究
3)受精に関する研究

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