続いては、現在当科で行っている基礎研究についてご紹介します。
下記のように、当教室の特色を生かし多角的に、多疾患にわたって臨床に直結できる研究を推進しています。
(1) 神経グループ
−家族性アミロイドポリニューロパチーの分子生物学的研究−
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は、遺伝的に変異を起こしたトランスサイレチン(TTR)、ゲルソリン、アポAIなどが前駆蛋白となって線維状の構造を持つアミロイドと呼ばれる特異な蛋白質が、神経節を含む末梢神経、自律神経系や他の組織に沈着することにより臓器障害を引き起こす全身性アミロイドーシスです。当教室では、分子生物学的手法を用い、家族性アミロイドポリニューロパチーの病態解明、トランスサイレチン沈着機構の解明とその制御により、新規予防、診断、治療法の開発を目指しています。
−新規神経ペプチドによる摂食調節とエネルギー代謝機構の研究−
近年、肥満者の増加と肥満を基礎にして発症する糖尿病・脂質代謝異常、高血圧症などの肥満症やメタボリックシンドロームを呈する患者数が増加しています。グレリンは胃から発見されたペプチドで、摂食亢進や体重増加、消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用を持ち,今まで知られている中で唯一の末梢で産生される摂食促進ペプチドです。肥満や摂食障害などの病因におけるグレリンの意義も解明されつつあります。当教室では、グレリンの持つ幅広い生理作用の解明や、NPY等の摂食調節ペプチドの機能解析を進め、ペプチドそのものや受容体のアゴニスト、アンタゴニストといった新規の抗肥満薬の開発や実用化を目指しています。
(2) 呼吸器グループ
−癌抑制遺伝子の呼吸器疾患での病態生理学的意義−
肺の上皮細胞で特異的に特定の遺伝子を欠損させたコンディショナルノックアウトマウスを用いて、各呼吸器疾患モデル動物を作製したのちに、in vivoで形態学的評価、分子生物学的解析を行っています。さらに、モデル動物からの肺上皮細胞や肺線維芽細胞の初代培養や、遺伝子導入した細胞株を行い、in vitroでの機能解析をすすめています。また、現在話題の成体幹細胞、がん幹細胞の制御機構を解明し、予後不良とされる肺癌の発症機構や一旦癌になってからの維持機構を標的とした新しい治療戦略に取り組んでいます。
−抗菌ペプチドの同定と抗菌作用、臨床応用への検討−
細菌性肺炎や慢性下気道感染症におけるデフェンシンをはじめとする抗菌ペプチドの病態生理学的意義を解析しています。In vitroでのペプチドの抗菌活性に関する相乗効果、組織傷害性、サイトカインの誘導、放出について基礎的研究をすすめており、将来的に多剤耐性菌やウイルスに対する治療展開を見据えた探索をしています。
(3) 内分泌グループ
−生理活性ペプチドの機能解析−
当教室では、グレリンなど種々の生理活性ペプチドの機能解析、および臨床応用を目指した基盤研究に取り組んでいます。最近では、国立循環器病センター研究所、大阪大学や昭和大学等との共同研究により、視床下部に局在し抗利尿ホルモンの分泌を抑制する新規生理活性ペプチドNERP (neuroendocrine regulatory peptide)-1, NERP-2を同定しました。現在、その分泌抑制機構やヒト病態での変動について解析しています。
(4) 代謝グループ
−膵β細胞糖脂肪毒性の分子機構と薬剤による調節−
糖尿病患者では、特に肥満した症例では、膵β細胞が高血糖と遊離脂肪酸に暴露される結果、細胞内酸化ストレスが亢進しアポトーシスが惹起され、膵β細胞数の低下を招くと考えられています(糖脂肪毒性)。当教室では、マウス膵島の初代培養細胞やβ細胞株を用いて、in vivoの膵β細胞糖脂肪毒性モデルを確立し、その分子機構を生化学的あるいは分子生物学的手法を用いて解析しています。また現在糖尿病治療薬として用いられているインスリン抵抗性改善薬や降圧薬のアンギオテンシンII受容体拮抗薬、さらに新しい糖尿病治療薬として期待されているインクレチンの膵β細胞糖脂肪毒性に対する効果とその分子機構を研究しています。
当教室の活動に少しでも興味を持たれた方はぜひご連絡、ご相談下さい。
意欲あふれる先生を心よりお待ち申し上げます。
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